僕の製造番号はB-2497-0428-U15(製造年月日2497年4月28日)

 使用期限は2512年4月28日

 使用用途は 男娼(対 成人男性)
 
 僕は 自らは何も求めない

 僕の人工受精卵は そうプログラムされているはずだった

 だけど 14歳と9ヶ月経った頃 僕の中に欲求というものが 突然生まれた

 僕の持ち主が裸の僕に手を伸ばす

 いやらしい手つきで 僕の尻を撫で回す

 心の中に生まれる嫌悪 拒絶という ありえないはずの欲求に襲われる

「嫌だ!!!!」

 持ち主は驚く 僕は震えて もう一度叫ぶ 嫌だ、と

 持ち主は俺を叩く 手のひらと罵声が降り注ぐ

 僕は立ち上がって走り出す 逃げる 走る 振り返る 逃げる

 雨の降る道 いつだって暗い空 太陽の光なんか 僕は知らない

 冷たい感触 また後ろを振り返る バランスをくずして地面にぶつかる

 濡れた体 迫る腕 激しくなる雨の音と 静かな暗闇

 足で踏まれる 手で叩かれる

 お前のような不良品はいらない、いらない、いらない

 言葉が 不良品だという言葉が 僕を殺そうとする

 そのときだった もう一組の足が 僕の前に立った

「その子を…ゆずってもらえませんか」

 それが 僕とスズキさんとの出会いだった
 
   






















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