「何がいい?」

「え…」

「名前、君が好きにつけていいよ。そしたら、俺はその名前を呼ぶから」

「僕が?…そんなの、無理だよ…」

「じゃぁ、どんなのがいい?」


 少年は 真剣に悩む

 自分の名前を考えるのに 真剣に悩むなんて 可哀相だと 思った

 俺も 一緒に考える 生まれて初めて 人に名前をつけるから

 
「あの…」

「どう?」

「や、やっぱり…スズキさんが、決めて」


 彼は 謙虚であるらしい

 でも自分の意見は しっかり言わないといけないぞ、と俺は言う

 そしたら 少年は言う スズキさんが一番好きなもの、と


「俺が一番好きなのは…ニホン?」

「ニホンって…何?」

「昔にあった国の名前」

「国と同じなんて…そんなの僕に似合わないよ」


 彼は横に首を振る 茶色の髪の毛が フワフワと跳ねる

 俺は思いつく 男につける名前じゃないけど 不思議と彼には似合う気がした
 

 
   






















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