俺の名前はスズキ・・・下の名前は　忘れた

　職業は科学者　生まれたのは・・・２２９９年

　普通に計算したら　俺は２１３歳なわけだが　そうじゃない　今は２５歳だ

　２０歳のとき　俺は２４世紀の世界から　タイムマシンでやってきた

　事故だった　本当は２０世紀に行くつもりだった

　こっちに来てみれば　タイムマシンの使用は法律で禁止　

　しかも俺の故郷　ニホンという国は　２３２０年に沈んで海の底になっていた

　つまり　俺が仮に戻っても　１年後には海の底ってわけだ

　そういうわけで　俺は名前もわからないこの国で　暮らすことになった

　５年経った現在　目下、夢幻タイムマシンの開発に没頭

　既に開発済みのプラント即培機で　野菜と花を育てるのに夢中

　夢幻タイムマシンは　言ってみればホログラム

　ただ　自然の失せたこの世界で　ホログラムとはいえ

　月や星を復活させるのは至難の業　それさえできれば　もう完成

　プラント即培機は　その名の通り　植物を約１００倍の早さで成長させる機械

　それからもう一つ　コンピューターでニホンについての資料を集めるのも俺の趣味


　毎日が　この街と同じように　ひどく無機質だった
　
　だけど　ある雨の夜　この街では珍しく　激しい雨が降った夜

　俺は　一人の少年を拾った　アンドロイドらしき　裸の少年

　ただ彼は　人間の瞳をしていた　俺を地面から　じっと見ていた

　だから俺は言った　「その子を…ゆずってもらえませんか」　と。
　

　
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